ビリンバウの構成   ビリンバウの組立て方   ビリンバウの持ち方   ■ビリンバウの音について

サイト・トップ


1. いい音の出し方
2. いい音ってどんな音?
3. 音質を決定する要素










ページ・トップ
サイト・トップ

 それではいったいどんな音にチューニングすればいいのでしょうか?これには弾き手の好みもありますし、複数のビリンバウを用いる場合には他のビリンバウとの差別化という問題も出てくるので、一言でこうだと答えることはできません。しかしそのビリンバウが持っている最もいい音を引き出すという観点から言えば、いくつかの目安を提示することは可能です。


トン(dom
 アラーミがしっかり張れているという前提で、カバッサを上下させて音を比べてみると、最適の位置にハマったときに、カバッサの奥から突き抜けてくるような音を感じることができると思います。音量も最も大きくなり、音質にも焦点が定まったという感覚が感じ取れます。一応この音が、そのビリンバウの持つ最良の音だと考えることができます。そしてこの音の高さによってグンガかメジオかヴィオラかを判断することになります。


チン(dim
 トンに比べるとカン高くてか細いです。それだけに余韻がある程度長く残るようにすると美しく聞こえます。例えばアンゴラのトーキを弾くときに、トン・チンと短く切れてしまうか、トン・チーンと長く伸びるかという違いですね。またカバッサを前後させて「ワウワウ効果」が出るかどうか。トンを打つときのほうが出やすいですが、チンを打つときにもこの音が出ると、ビリンバウ全体の音がしなやかに聞こえます。


チ(ts
 チ(tsの音の特性は、チンの音と基本的に同じです。チンの音に余韻が残りにくいときにはチの音にも芯が残りがちです。こんなときはドブラゥンを、アラーミから離れてしまうぎりぎりのところまで緩めてみましょう。カバッサの位置を少し下げてみるのも効果があります。チンの音が非常に柔らかく出るときには、チの音もドブラゥンに吸い付くような手ごたえを感じることができます。


 実際に音を確認しながらカバッサを上げ下げしていると、トンの位置はここだ!と思っても、チンがあまりよく出ていなかったり、逆にチンはすごくよく伸びると思ったらトンの焦点がずれていたりということが起きてきます。これは仕方のないことですね。やはり最後は全体のバランスで判断するしかありません。


 またグループによっては、グンガは常にこの音、メジオは常にこの高さというのが決まっているところもあります。そうすることでバテリアのカラーを一定に維持でき、グループの特色を形成することができるのですね。そういうグループでは、先生や先輩から教えられた「その音」が出るようにチューニングします。もっとも通常はグループ内で使用するビリンバウは決まっていますので、アラーミの張り具合、カバッサの位置なども、いつも通りやればいいことになります。

ページ・トップ
サイト・トップ

 ビリンバウの音を決定する主な要素は次の5つです。

@
ヴェルガの弾力性
A
アラーミの張り具合
Bカバッサの形状
C
カバッサにつけた紐の輪の大きさ
Dカバッサを取り付ける位置

 自分でビリンバウを作る場合はすべての要素について選択できますが、すでに完成したものを購入する場合には、自分で調節できるのはAアラーミの張り具合Cカバッサにつけた紐の輪の大きさDカバッサを取り付ける位置だけですね。



 ヴェルガの弾力性は、切り出されたヴェルガに備わっている性質のことです。木の種類や長さ、乾燥の度合い、もっといえば育った土壌などさまざまな要因によって規定されます。アラーミをしっかり張っても、音の伸びが失われないようなしなやかさのあるヴェルガを見つけ出したいものです。


 本当にいいヴェルガだと、大きさの異なるカバッサを付け替えても、それぞれにいい音を発揮することができます。普通はたくさんのカバッサを試してみて、その中から1ついいものが見つかるかどうかというところですね。

 完成品のビリンバウを買う場合も、もし複数の中から選べるのであれば、1本ずつヴェルガをしならせてみることをおすすめします。自分でアラーミを張ることができる程度の硬さであることも大切ですしね。間違ってもペイントの美しさなんかで選ばないで下さい。


 アラーミの張り具合を調節するのは、とてもデリケートな作業です。とくにヴェルガが柔らかいとき、力任せに張りすぎてしまう傾向がありますが、あくまでも求める音に必要なだけ張るようにします。

 アラーミを張ったら、カバッサをつける前に指ではじいてみましょう。経験をつんでくると、このときのアラーミの振動の仕方でカバッサを付けたときの音をだいたい予想できるようになります。このときにあまりにも硬い音だと、カバッサをつけた後も、とくにチンの音(実践編で詳述)の伸びが失われがちです。


 カバッサの形状については、一般に大きいものほど低い音が、小さくなるほど高い音が出ると理解されていますが、音の高さを規定するより重要な要因はヴェルガの弾力性にあります。フニャフニャのヴェルガに小さいカバッサを付けたときよりも、カチカチのヴェルガに大きいカバッサをつけたときのほうが高い音が出ます。

 同時に重要なのが、カバッサを切ったときの、切り口の大きさです。これが狭すぎると音がこもってしまい、逆に広すぎると焦点の定まらない音になります。自分でカバッサを切るときは、最初は小さめの口にしておき、必要に応じて少しずつ広げていくようにしましょう。

 カバッサの形についても、一概に規則に当てはめることはできませんが、一般的には球形から長球形が合わせやすいといえます。鉢があまり大きいものは、ビリンバウを持つときに手の邪魔になりますね。

 あと結構見落とされがちなのが、ヴェルガに接するカバッサの「ヘソ」の形状です。これが凸ったり凹んだりしすぎていると、いい音が出にくいです。もちろん自然に生えているヒョウタンの果実なんですから、あまり過度な期待をするのもかわいそうですが、ビリンバウ職人の立場からすると、つるっと滑らかなのが理想的ですね。


 カバッサとヴェルガをつなぎとめる紐の長さは、これも原則としてですが、短い方が音に伸びが出ます。ただし短すぎると、小指をいれる隙間もなくなってしまいますし、やはり音が硬くなると思います。

 逆に長いと、打ったときのトン(dom)のインパクトは出やすいですが、チン(dim)の方がブツッと切れた感じになることも少なくありません。最終的にはいろいろ試しながらバランスのよさを見ることになります。


 カバッサを取り付ける位置は、ヴェルガの下から1パルモ(広げた手のひらの親指から小指までの長さ)辺りが適当だといわれています。しかしこれもあくまで目安であって、実際にはバケッタで叩き、音を確認しながら調節することになります。自分の耳を信用しましょう。

 カバッサの位置を上下させるときには、アラーミとヴェルガを手で握り、カバッサの紐に摩擦の負担をかけないようにします。このときにヴェルガの下端を水平にしておくことも大切ですね。誤って手を滑らせてもカバッサを床に落とさないためです。

ページ・トップ
サイト・トップ